近年、地方移住への関心が高まっています。
新型コロナウイルスの影響でテレワークが普及し、都市部を離れて暮らすことへの心理的なハードルも下がってきました。
しかし、実際に移住を考えると「どの地域が自分に合っているのか」「何から始めればいいのか」といった悩みも多いのではないでしょうか。
この記事では、ライフスタイルや仕事に応じた地域の選び方から、移住前に確認すべきポイントまで、地方移住を実現するために役立つ情報をご紹介します。
あなたの理想の暮らしを実現するためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
メディア監修 かみざと
沖縄でITスキルを活用して豊かに暮らせる人を増やすため、沖縄県民の方々にIT関連(SEOなどのマーケティング系)の仕事を振っています。
【自己紹介】
・30歳でプログラミングを学んで研究者からエンジニアへ転職
・フリーランスとして独立し地元の沖縄へUターン
・東京企業から案件を頂き在宅ワーク
・嫁と猫2匹とのんびり暮らす
【ライフスタイル別】おすすめ移住先
都心にアクセスしやすい地域
静岡県
東京から新幹線でわずか1時間の静岡県東部エリアは、都心への通勤圏内でありながら、豊かな自然に恵まれた環境が魅力です。
特に沼津市・三島市は、東海道新幹線の停車駅があり、東京までスムーズにアクセスできます。
富士山をはじめとする雄大な自然に囲まれていて、心が癒される景観も特徴的です。
沼津港は活気のある漁港で、新鮮な魚介類を堪能できるスポットとして知られています。
また、週末には海や山でアウトドアを楽しめるだけでなく、首都圏と比べて物価も比較的安価なため、ゆとりのある生活を実現できます。
神奈川県
神奈川県は、東京都心部への交通の便がよく、その利便性の高さから移住先として人気があります。
特に横浜市や川崎市は、都内まで30分から1時間程度でアクセスできるのが特徴です。
商業施設や医療機関が整っており、都会的な暮らしを楽しめる一方で、湘南エリアでは海を身近に感じられる開放的な生活も実現できます。
休日には海辺でリフレッシュしたり、観光地として人気のスポットを訪れたりと、メリハリのある生活を送れます。
東京での仕事を継続しながら、より豊かなライフスタイルを実現したい方にとって、理想的な移住先といえるでしょう。
子育て世帯におすすめの地域
福岡県
福岡市では、「ふくおか安心ワンコイン」という子ども医療費助成制度を導入しています。
この制度により、3歳から中学生までの子どもがいる家庭は、医療機関での自己負担が月額500円に抑えられ、家計の負担を大きく軽減できます。
さらに、2023年4月からは画期的な保育料支援制度もスタートし、第二子以降の保育料が完全無償化されました。
この制度の特徴は、兄弟が同時期に保育施設を利用していなくても適用される点で、より多くの子育て世帯が活用できるようになっています。
沖縄県
名護市とうるま市は、子育て世帯への支援が特に充実している地域として知られています。
名護市では、0歳から中学生までの子どもの医療費助成制度を設けており、子育て世帯の経済的負担を軽減しています。
うるま市も同様の医療費助成制度を整備し、地域全体で子育てを支える体制が整っているのが特徴です。
沖縄県は温暖な気候と相まって、子どもたちが健やかに成長できる環境が整っており、子育て世帯にとって魅力的な移住先となっています。
田舎暮らしを満喫できる地域
長野県
松本市と茅野市では、雄大な自然に囲まれた暮らしを実現できます。
特に茅野市は八ヶ岳の麓に位置し、四季を通じてさまざまなアウトドア活動を楽しめます。
登山や温泉巡り、スキーやスノーボードなど、自然を満喫できるライフスタイルが魅力です。
松本市も、国宝松本城をはじめとする歴史的建造物と美しい山々に囲まれ、観光地としても人気の高い地域です。
さらに、東京圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)、愛知県、または大阪府からの移住者には、手厚い支援制度が用意されています。
移住や就業に関する要件を満たしていれば、単身世帯で最大60万円、2人以上の世帯には最大100万円が支給されます。
参考:UIJターン就業・創業移住支援事業のご案内(長野県ホームページ)
高知県
高知市北部の土佐山地区は、豊かな自然環境の中で、新しいかたちの田舎暮らしを実現できる地域として注目を集めています。
この地区は地域おこしに熱心な住民が多く、移住者も積極的に地域活動に参加できる環境が整っています。
地域の人々との交流を通じて、コミュニティの一員として充実した生活を送れるのが特徴です。
地域の伝統や文化を大切にしながら、新しい価値を創造する活動に携わることで、やりがいのある田舎暮らしを実現できる場所といえるでしょう。
老後の移住先におすすめの地域
山梨県
山梨県は、東京から特急で約90分というアクセスの良さが魅力です。
物価も比較的安く、年間を通じて晴天の日が多いため、過ごしやすい環境が整っています。
また、65歳以上人口あたりの医師数が全国平均を上回る充実した医療体制で、高齢者向けの医療サービスや介護施設も充実しています。
富士山や八ヶ岳の美しい景色を眺めながら、ゆったりとした老後生活を過ごせるでしょう。
宮崎県
宮崎県は、年間を通じて温暖で寒暖差が少なく、高齢者の体調管理がしやすい環境です。
物価が比較的安価なうえ、新鮮な農産物や海産物が手頃な価格で入手できるため、年金生活でも質の高い食生活を送れます。
また、高齢者に対する支援制度が充実しているだけでなく、地元企業や関係機関と連携した見守り活動を推進しており、一人暮らしの方でも安心した生活を送れるでしょう。
温かい人たちに囲まれながら、老後をのびのびと楽しめる環境が整っています。
移住先の選び方・決め方
移住先選びで大切なのは、目的をはっきりさせることです。
自然に囲まれて暮らしたいのか、のびのびと子育てをしたいのか、地方で起業したいのか、それによって最適な移住先も変わります。
漠然と「田舎暮らしがしたい」という思いだけでなく、自分にとって重要なことを明確にして優先順位を決めましょう。
趣味や生活スタイルを重視する場合
海が好きな人は、年間を通じて温暖な気候で美しい海に恵まれた沖縄県や、豊かな海の幸が魅力の湘南エリア、和歌山県などの海沿いの地域がおすすめです。
登山愛好家であれば、長野県や富山県、山梨県など、山岳地域への移住が向いているかもしれません。
また、スローライフを求める人には、豊かな自然に囲まれた瀬戸内海の島々や、のどかな田園風景が広がる群馬県、茨城県、新潟県などの農村地域がいいでしょう。
仕事を重視する場合
農業に携わりたい人は北海道や東北地方、観光業であれば京都府や沖縄県など、地域の特性を活かせる場所がいいでしょう。
起業を考えている方は、福岡県や北海道など、創業支援制度が充実している地域を検討してみてください。
都心への通勤や出張が多い方は、アクセスがいい軽井沢や鎌倉といった地域が選択肢となります。
地方移住のメリット5選
住居費が安い
地方移住の最大の魅力は、住居費の大幅な削減です。
都市部と地方では、家賃や土地代に大きな差があります。
たとえば東京23区内では、家賃10万円だと1Kから1DKの物件に住むことになります。
しかし地方では、同じ予算で3LDKの広い家や、場合によっては一戸建てに住めることも。
この住居費の違いは、生活のゆとりに大きな影響を与えます。
手取り収入から家賃を差し引いたあとの金額を、食費や光熱費に充てたり、将来に向けた貯蓄に回したりできますよね。
経済的な余裕は、生活設計の自由度を高めるだけでなく、趣味の時間や家族との大切なひとときを楽しむ余裕も生み出します。
このように、家計の負担を減らすだけでなく、心にもゆとりが生まれるのが、地方暮らしの良いところだと言えるでしょう。
自然環境が豊か
豊かな自然との触れ合いも、地方暮らしの魅力です。
美しい風景に囲まれ、四季の移ろいを感じながら過ごす生活は、心も体も元気にしてくれるでしょう。
また、身近に山や海があることで、週末の過ごし方も変わってきます。
登山やキャンプ、釣りなどへ気軽に出かけられるので、アウトドア活動が生活の一部になっていきます。
日常生活のなかでも、都会では決して味わえない時間を過ごせるのが、地方暮らしの醍醐味です。
都会の喧騒から離れ、自然のリズムに寄り添って暮らせる地方での生活は、心も体も豊かにしてくれるでしょう。
子育て支援の充実
地方での子育ては待機児童の心配が少なく、保育所や幼稚園も利用しやすいのが特徴です。
都会と比べて保育施設が充実しているので、共働き家庭でも安心して子どもを預けられます。
仕事と育児の両立も、より楽になりますね。
また地域によっては、子育て世帯への支援も手厚く用意されています。
たとえば、子どもの医療費を助成してくれたり、赤ちゃんが生まれたときにお祝い金が支給されたり。
このような経済的なサポートがあることで、子育ての負担が大きく軽減されます。
特に若い家族にとって、こうした支援の充実は魅力的ですよね。
安心して子どもを育てられる環境が整っていることも、地方暮らしのメリットです。
旬の食材を楽しめる
地方での暮らしには、新鮮な旬の食材を楽しめるという魅力もあります。
地元で採れた新鮮な野菜や魚介類は、栄養価が高く、味も格別です。
季節の移り変わりとともに、畑では色とりどりの野菜が実り、海からは旬の魚が水揚げされます。
これらの食材を毎日の食卓に取り入れることで、自然と健康的な食生活が送れるでしょう。
また、地元の食材を使った郷土料理は、その土地ならではの調理法や味付けなど、知恵と工夫が詰まっています。
新鮮な食材と伝統的な料理法に触れることで、食卓がより一層にぎやかになりますね。
生活環境が静か
地方では、静かな環境で暮らせることも魅力のひとつです。
車や工事の音、人ごみの喧騒に変わって、鳥や虫の鳴き声が聞こえてくるような、都会の騒がしさとは無縁のゆったりとした時間が流れています。
このような静かな環境だからこそ、読書や趣味の時間も格別です。
地方での穏やかな暮らしは、忙しい毎日で忘れがちな心の余裕を取り戻させてくれます。
地方移住のデメリット5選
仕事の選択肢が限られる
地方では企業数が少なく、求人も限られているため、自分の希望する職種に就けない可能性があります。
特に専門性の高い職種や、特定の業界での仕事を探す場合、その傾向は顕著です。
長年培ってきた経験やスキルを活かせる職に就くことが難しく、異業種に転向せざるを得ないケースも少なくありません。
このように、地方では職業の選択が制限される可能性が高く、キャリアプランの変更を余儀なくされることもあります。
移住を検討する際は、地域の雇用状況をしっかりと調べておきましょう。
年収が低い
地方での給与水準は、都市部と比較して全般的に低く設定されています。
同じ職種、同じ職位であっても、年収が2割から3割ほど下がることは珍しくありません。
そのため、地方移住を考える際には、収入減少を前提とした生活設計が必要です。
都市部での生活水準をそのまま維持することは難しいため、家計のやりくりや支出の見直しなどが求められるでしょう。
交通の便が悪い
地方生活で直面する大きな課題の一つが、交通の利便性の低さです。
都市部では、電車やバスといった公共交通機関が当たり前のように利用できますよね。
しかし地方では、本数が極端に少なかったり、路線自体が存在しなかったりすることがほとんどです。
そのため、日々の買い物や通院、通勤、通学など、地方での生活には自家用車が必需品となります。
特に、公共交通機関に慣れ親しんだ都市部からの移住者にとって、この点は大きな課題と言えるでしょう。
さらに、車の購入費や維持費、ガソリン代といった新たな出費も考慮しなければなりません。
運転免許を持たない人や高齢者にとっては、移動手段の確保が深刻な問題となる可能性もあり、地方移住を検討する際の重要なポイントとなります。
娯楽施設が少ない
地方生活における課題の一つとして、娯楽施設や文化施設の不足が挙げられます。
都市部では当たり前のように楽しめる映画館、劇場、美術館、ショッピングモールなどの施設が、地方では限られているのが現状です。
特に、最新の映画やコンサート、演劇などの文化的なエンターテインメントを楽しむ機会が大幅に減少します。
また、大型商業施設が少ないため、ファッションや買い物の選択肢が限られてしまいます。
しかし、自然を活かしたアウトドア活動や地域のコミュニティ活動に参加するなど、新しい楽しみ方を見出すことも可能です。
地方ならではの楽しみを見つけることで、移住生活をより充実させられるでしょう。
地域の結びつきが強い
地方生活では、人間関係やコミュニティの在り方に苦労することがあります。
地域の結びつきが強すぎるため、お祭りや町内会活動、地域の清掃活動など、地域行事への参加を強制されることも少なくありません。
特に都市部からの移住者にとって、このような密接な人間関係は大きな負担となることが多いです。
また、地域特有の慣習や風習、しきたりなど、都市部とは異なるルールがストレスの原因になることも。
地方移住を検討する際には、自身のライフスタイルや価値観を受け入れられるかどうかを慎重に見極める必要があります。
地方移住に向いている人の特徴
住環境に適応しやすい
地方での生活は、都市部とは大きく異なる環境へ順応できるかが鍵となります。
特に交通面では、公共交通機関が限られているため、自動車の運転免許をもっているかどうかで生活が大きく変わります。
日常の買い物や通勤、通学など、さまざまな用事を済ませるためにも、自家用車は必需品と言えるでしょう。
また、都市部のような利便性は期待できないため、不便さを前向きに受け止められる柔軟さが必要です。
たとえば、24時間営業のコンビニエンスストアがない、深夜まで営業している店舗が少ないといった状況も、地方ではよくあります。
さらに、地方には独自の文化や風習が根付いているため、地域の人々と積極的に交流できる人の方が適応しやすいと言えます。
自然や文化に興味がある
地方での暮らしは、豊かな自然環境に囲まれています。
山歩きや川遊び、野菜作りなど、自然のアクティビティを楽しめる人は、地方での生活に向いています。
また、その土地ならではの伝統や歴史に触れることも、地方暮らしの醍醐味の一つです。
古くから続く祭りや伝統行事に参加したり、郷土料理を習ったり、伝統工芸を体験したり。
このような文化活動を通じて地域の人々と交流を深めていくことで、その土地への理解もより深まっていきます。
そこに興味を持って関われる人は、自然と地域の輪の中に溶け込んでいけるでしょう。
コミュニケーション能力が高い
地方での暮らしを心地よいものにするには、地域の人々とのつながりが欠かせません。
地方では顔の見える関係づくりが重要なので、地域の集まりに積極的に顔を出し、少しずつ関係性を育んでいく姿勢が大切です。
地域の方々とコミュニケーションを取りながら良好な関係を築ける人は、新しい土地での生活にもスムーズに馴染んでいけるでしょう。
このような交流を重ねることで、地域の一員としての安心感も芽生えてきます。
また、趣味や関心事が同じ仲間と出会えるかどうかも、地方暮らしの充実度に大きく影響します。
興味のあるセミナーやサークル活動にも足を運んでみると、価値観の合う仲間との出会いが待っているかもしれません。
ITスキルを身につけている
地方暮らしでも、ITスキルがあれば仕事の可能性は大きく広がります。
ライティングやWebデザイン、プログラミングなどのスキルがあれば、地方に住みながら都会と変わらない収入を得られます。
フルリモートの仕事なら住む場所を選ばないので、理想のライフスタイルを実現しやすくなりますね。
また、Webディレクションやマーケティングのスキルは、地方の企業のデジタル化支援など、地域に根ざした仕事にも活かせるでしょう。
デザインやプログラミングの技術があれば、地元企業のホームページ制作やオンラインショップの立ち上げ支援など、地域に貢献しながら収入を得ることも可能です。
さらにこれらのITスキルは、地方での新しいビジネスチャンスを生み出すきっかけにもなります。
地域の特産品をオンラインで販売したり、観光情報を発信したりと、地方の魅力を全国に届けられます。
ITスキルがあれば、地方に住みながらいろいろなことに挑戦できるので、充実した移住生活を送れるでしょう。
地方移住に必要な準備
目的地を決める
移住先を決める際は、自分のライフスタイルに合った場所を選ぶことが重要です。
それぞれの地域には独自の特色があり、気候や文化、生活環境が大きく異なります。
豊かな自然の中でスローライフを送りたいのか、地域に根ざした仕事で新たなキャリアを築きたいのか、あるいは家族との時間を大切にしたいのか。
移住の目的を明確にしてから、その条件にあった地域を選ぶように心がけましょう。
情報収集をする
移住計画を実現するためには、情報収集と現地での体験が欠かせません。
まずは、移住先として検討している自治体のホームページを詳しく調べましょう。
移住者向けの支援制度や補助金制度を設けている自治体も多いので、自分のニーズに合った制度が見つかるかもしれません。
また、各自治体に設置されている移住相談窓口も、貴重な情報源となります。
窓口では、パンフレットやウェブサイトだけでは得られない、地域の暮らしに関する具体的な情報が手に入ります。
地域おこし協力隊の経験者や、先輩移住者の体験談を聞ける場合もありますよ。
さらに重要なのが、実際に現地を訪れることです。
その土地の気候、交通アクセス、医療施設、商業施設など、日常生活に関わるところを丁寧に確認しておくといいですね。
引っ越し手続きをする
地方移住に伴う各種手続きには、思いのほか時間と労力がかかります。
住民票の異動や健康保険の切り替え、電気・ガス・水道などの公共料金の契約変更、インターネット回線の開設、子どもがいる場合は学校の転校手続きなど、やるべきことはたくさんあります。
これらの手続きを円滑に進めるために、必要な手続きをリストアップするのがおすすめです。
特に住所変更に関する手続きは、免許証やクレジットカード、各種保険など多岐にわたります。
手続きの期限を確認しながら、優先順位をつけて進めていきましょう。
なお、移住者向けの手続きガイドを用意している自治体もあるので、参考にすると良いですよ。
まとめ
この記事では、移住におすすめの地域や、地方移住のメリット・デメリットについて解説しました。
地方移住を成功させるには、計画的な準備が必要です。
それぞれの地域が持つ特色を理解して、自分の目的や希望に合った場所を選ぶことが重要です。
そして、各自治体が提供する支援制度を上手に活用しながら、理想のライフスタイルを実現しましょう。
この記事が、地方移住を検討している方の参考になると嬉しいです。